令和2年1月の報告

コーチングを食行動アプローチにとり入れる

~選手に合わせたコミュニケーション力をアップ~

開催日 令和2116日(木)

講 師 オフィス クレセール 代表 松岡 幸代 先生

 


 オフィス クレセールの松岡幸代先生より、コーチングに関するお話を伺った。私たちが選手のサポートをする際には、選手に有効な食行動アプローチを考え、選手に伝え、実践してもらい、成果が出たらいいなと考える人は大勢いるだろう。そのためには、サポートする側はまず、選手のやる気を引き出す必要がある。やる気を引き出すための方法として、コーチングのスキルが有効である。ここで、コーチングとは、相手が持っている能力、強み、個性を引き出し、目標実現や問題解決するために自発的行動を促すコミュニケーション技術である。私たちサポートする側は、選手に合わせたコミュニケーション力をあげる必要がある。コミュニケーションの原則として、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションがある。話し手が聞き手に与える影響には、言語情報、聴覚情報、視覚情報の3つから構成されており、その影響力は視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%である。(メラビアンの法則)。また、人が相手を評価するときは、“外見”→“態度”→“話し方”→“話の内容”という順番で評価すると言われている。つまり、よりよい関係性を築くために、非言語のコミュニケーションにも意識を向けることがいかに重要であることが伺える。

コーチングの基本的な考え方として、知識を伝えるだけではなく、相手の考えを引き出し、整理し、見通しをつけることであり、「一緒になって考える」ということである。コーチングンの際に、知識を伝えるための情報提供のタイミングには注意が必要で、選手の思いや考え・プランをしっかり聞いたうえで、情報提供をする。選手の関心の扉が開いてから情報提供をすることではじめて伝わるわけで、相手の関心の扉が開く前に情報だけを伝えても選手の食行動の変化への効果は期待できない。

では、相手の関心の扉を開くにはどうすればよいか。「コーチング」→「情報提供」→「コーチング」という流れで行うのが有効である。始めのコーチングでは、相手が知りたいことや、悩んでいること、抱えている問題、選手の知識レベルをつかむ。それができたら、選手に必要だと思われることだけを情報提供をする。あくまでも情報提供にとどめ、どうするかは選手に選択してもらう。そして最後のコーチングで、提供した情報について短いコーチングをする。提供した情報を聴いてみてどう思ったのかを引き出すのである。人は、話をすると、自分が話した言葉を自分で聞くことによって、自分の考えに気づくということがある。これをオートクラインと言って、コーチングする側は選手のオートクラインを起こすことが大切である。

 松岡先生の講義では、所々で私たち参加者に問題が提示され、その都度参加者同士で話し合い意見を出し合うという形式で講義が進められた。普段の定例会とはひとあじ違った参加型の講義で、始終和気あいあいとした雰囲気であった。私たち参加者が臆することなく意見を出し合える雰囲気づくりを、松岡先生が作り出していたのだと講義が終わって実感した。コーチングというスキルを、身をもって感じることのできた講義であった。

 

 

(文責 福祉 下岡伊織)