総会(5月)セミナー

多様なサプリメントの使い分け

開催日 令和5519日(金)

講 師 株式会社Real Style 開発生産部 

管理栄養士 布目沙矢香 先生

 


今回は近年多様化が進むスポーツサプリメントの現状を把握し、アスリートの栄養サポートへ活かすことを目的にご講演いただいた。

ご自身は管理栄養士として勤務されている傍らバトミントン歴30年と現在も現役のアスリートとして活躍されておられ、日々ご自身のパフォーマンス向上のためにサプリメントを摂取され体感されておられる。

【スポーツサプリメントとは】

世界共通の定義はないが、2018年のIOCの合同声明では「健康やパフォーマンスのために習慣的に摂取する食品、食品成分、栄養素」と定義されている。

日本のトップアスリートのサプリメント使用率は2012年以降80%以上が続いており、使用目的としては食事で不足している栄養素などの補充・疲労回復・競技力向上・筋量や体重の増加が主なものである。

サプリメントの利用を考えるにあたっては過剰摂取やドーピングなどには十分留意する必要がある。

・サプリメントの分類

①スポーツフーズにはスポーツドリンク、エナジードリンク、プロテインサプリメント、プロテインバーなど栄養素の摂取目標量を満たすために補給するものをさす。

②ダイエタリーサプリメントは日常的な食事で不足することが多い栄養素を補給する目的で摂取する。代表的なものとしてはビタミンやミネラルがあり、中でもビタミンDはカルシウムとリンの吸収と代謝を調整し骨の健康状態を維持する機能があることから怪我の予防・回復、神経筋の改善、炎症の軽減、疲労骨折のリスク軽減などが報告されている。特に室内競技や冬季のスポーツ選手は不足しがちと言われているが、取りすぎると弊害があるので10,000IU/日と摂取量の目安が設定されている。これらは食事や日に当たることを見越した上限量である。

鉄も不足しがちなミネラルとしてあげられる。摂取する事で運動中の疲労感を軽減し、持久性パフォーマンスの向上が期待できるものである。

③パフォーマンスサプリメントは直接的にパフォーマンスを向上させる目的で摂取するもので、覚醒作用を促すカフェイン、短期間の高強度運動を高めるクレアチン、血流が良くなる事で疲労回復を促進するアルギニンやシトルリンなどがある。

それ以外にもダイエタリーサプリメントのパフォーマンスサプリメントが合わさった筋肉合成に使われるBCAAや免疫力向上に効果的なグルタミンなどもある。

サプリメントの代表的なものとしてはプロテインがあげられる。プロテインにも種類があり、ホエイは牛乳からチーズを作った残渣が原料で吸収スピードが早く運動直後の補給に最適である。

ソイは大豆が原料で、腹持ちが良くダイエットに向いている。ホエイよりは吸収はゆっくりしている。

カゼインはヨーグルトの上澄みを取り除いたものが原料で三つの中で最も吸収がゆっくりであるので就寝前に摂取することで身体にゆっくりと持続的に蓄えさせることができるとされている。

ただ一度に吸収できるタンパク質は20gと言うことなので摂取量や用途は考慮すべきとのことである。

競技中、大会で勝ち上がっていくごとに疲労が溜まり脚が攣ったり、肉離れなどに悩んでおられた選手に大会前、試しにマルチ&ビタミン配合のスポーツドリンクを飲んでもらった結果そのような症状は出なかったというエピソードやジュニア用プロテインはタンパク質不足のお年寄りにも効果的であるなど、これからもアスリートの栄養サポートを実施していくにあたり、かなり興味深く参考になるお話をお聞かせいただいた。

 

 

(文責 勤労者支援 佐野紀子 )