定例会(9月)報告

「スポーツ栄養サポート実践報告」

開催日 令和5915日(金)

講 師 ハイパフォーマンススポーツセンター

国立スポーツ科学センター

   公認スポーツ栄養士 大埜 礼華 氏

 


今回は、ハイパフォーマンススポーツセンターに所属されている公認スポーツ栄養士の大埜礼華氏を講師にお招きし、どのようにスポーツ栄養サポート活動の実践に取り組み、それらを研究へと展開されているのかについてご報告いただいた。

 

. ハイパフォーマンススポーツセンターとは

ハイパフォーマンススポーツセンター(以下、HPSC)は、国立スポーツ科学センターとナショナルトレーニングセンターが持つスポーツ医・科学、情報等による研究、支援及び高度な科学的トレーニング環境を提供し、国内外のハイパフォーマンススポーツの強化に貢献することを目的とした組織である。

大埜氏は、HPSC内にある国立スポーツ科学センター(以下、JISS)のスポーツ科学・研究部に所属し、スポーツ庁より委託されている「ハイパフォーマンス・サポート事業」に携わっている。その事業では、スポーツ栄養分野の専門スタッフとして、次期オリンピック・パラリンピック競技大会において、我が国のアスリートのメダル獲得の優位性を向上させる取組を実施している。例えば、JISS内の栄養指導食堂である「レストランR³(アールキューブ)」では、アスリートのためにスポーツ栄養学の理論に則った適切な食事が提供されるとともに、その場で栄養量やバランスを分析することができる栄養評価システムが設置されており、即座に栄養評価の結果を確認することが可能となっている。

 

Ⅱ.スポーツ栄養サポート活動について

大埜氏は、これまでに様々なアスリートを対象にスポーツ栄養サポート活動を実践されており、今回の講演では、実業団男子ソフトボールチームに所属する選手を対象に「食生活への意識」を向上させるサポート活動、高校ラグビー部に所属する選手を対象に「体重の増量」を目的としたサポート活動、競輪選手を対象に「レース期間中の疲労回復」を目的としたサポート活動について、大変丁寧にご報告いただいた。

これらすべてのサポート活動は、スポーツ栄養マネジメントの流れに則っており、アセスメントからサポート計画の作成・実施、そして評価に至るまで、客観的なデータを提示しながら解説していただいた。評価の部分においては、各種の調査によって得られたものだけでなく、選手自身の自己評価や監督やトレーナーなど指導者やスタッフによる評価を捉えているところが印象的であった。これらの内容は、今後のスポーツ栄養研究会におけるスポーツ栄養サポート活動の実践にとって、大変参考になるものであった。

 

Ⅲ.スポーツ栄養サポートの研究について

今回の講演では、前述したスポーツ栄養サポート活動の実践に留まらず、スポーツ栄養サポートに関する研究についても報告していただいた。具体的には、野球やサッカー、バスケット、弓道など異なる競技をしている高校生アスリートの身体特性と食事について検証した研究、女子サッカー選手におけるシーズン中の体格・体組成と栄養素等摂取量および血液性状の変化をレギュラーと非レギュラーの選手間で比較した研究についての解説であった。

本研究会においても、これまで実践内容を研究活動として報告してきたが、今回の大埜氏の講演を拝聴し、スポーツ栄養サポートの実践活動を研究に繋げていくことの重要性を再認識することができた。

 

(文責 研究教育部会 津吉哲士)